生保営業の給与体系は歩合制?営業マンが提案するプランとの関係について

生保営業職員は、一般のサラリーマンとは違い、ほとんどが歩合給制です。

契約をたくさん獲得すれば給料が増え、あまり獲得できなければ、給料は少なくなります。

この給与体系と顧客に提案する保険のプランに関連性があることは、一般にはあまり知られていません。営業職員にではなく、自分にメリットがある保険に加入するためにも、知っておいて損はない情報をお伝えします。

歩合給制のしくみ

歩合給制は読んで字のごとく、獲得した契約高に歩合率をかけた金額を給料として支払うしくみです。

ここでポイントとなるのが、「契約高」と「歩合率」です。

歩合率と保険商品

先に歩合率について触れますが、保険商品によって歩合率は異なります。この歩合率は、もちろん保険会社が決めるわけですが、保険会社として営業職員にどの種類の保険を売ってほしいかが反映されています。

あくまで例ですが、保険種類が定期保険の場合は歩合率が40%で、養老保険の場合は10%といった具合です。

こうなると営業職員としては、もし顧客が同じ保険料を払ってくれるなら、歩合率が良い定期保険を売りたくなるのが人情というものです。

もちろん、今の例は、掛け捨ての定期保険と貯蓄性の高い養老保険で、商品性が180度違いますから、実際にはこのような例は稀ですが、少し傾向が似たような商品、たとえば双方とも貯蓄性のある終身保険と養老保険では、提案プランが歩合給に左右される傾向は強くなります。

対応策

たとえば、老後の生活資金の準備で保険への加入を検討する場合で、提案プランが個人年金保険の場合、老後の資金準備に向いている保険は、個人年金保険以外にはないのかを営業担当者に確認しましょう。

「いろいろ検討した結果、個人年金保険がおすすめで・・・」といった口頭による説明ではなく、提案プラン以外の保険種類、たとえば終身保険や養老保険のプランも実際に作ってもらって、目の前で比較して、確かに提案プランが最良であることを確認することをおすすめします。営業担当者の言うことを過度に信用しないことが大事です。

契約高と歩合給

歩合給計算の元となる「契約高」とは具体的に何を指すのかがわかると、提案プランの保障額や保険期間に敏感になるはずです。

契約高=保険金の大きさ

主に国内生保に多いしくみですが、契約高というのは「死亡保険金の大きさ」を意味します。

つまり、たとえば1,000万円の定期保険なら、その「1,000万円」が契約高になります。たまに、顧客側で「毎月これだけの保険料を払うんだから、さぞかし営業担当者の給料に貢献しただろう」という方がおられますが、保険料は直接的には契約高とは無関係です。

保険金額を大きくする営業トーク①

歩合給を考えた場合、同じ保険種類で同じ保険料ならできるだけ保険金が高い保険契約を獲得したいと思うのが、営業職員の正直な気持ちです。

そこで、同じ保険料で保険金を大きくするテクニックが使われることになります。

たとえば、見込み客から「死亡保障については、月払保険料2,000円強の予算で考えたい」というリクエストがあるとします。

その見込み客が30歳男性だとすると、60歳満了の定期保険1,000万円は、月々2,203円*で加入できます。

この場合、月払保険料は2,000円強のまま、保険期間を60歳満了から10年満了に短くすると、死亡保障は1,000万円から1.8倍の1,800万円にすることができます。月払保険料は2,176円*です。つまり、定期保険の保険期間を短くすると、同じ保険料で保険金額を大きくすることができるわけです。(*)オリックス生命の場合。

顧客は保険期間に無頓着

顧客は、万が一あった場合保険金がいくら降りるかについては注意を払いますが、保険期間については無頓着の人が多いため、保険期間が短いことに異論をはさむ人はあまりいません。

また、保険期間が10年や20年といった更新型の定期保険(定期保険特約を含む)の場合、保険期間が満了しても、あらたに10年・20年保険期間が繰り返し自動的に更新される仕組みになっています。

保険提案書や保険設計書によく描かれている保障図では、自動更新された後の保障図も描かれているため、保険期間が短いことに顧客があまり気づかないというのも、保険金を大きくするテクニックを売る側が使いやすいひとつの理由と思われます。

保険金額を大きくする営業トーク②

保険金額を大きくするのは、定期保険の保険期間を短くするほかに、掛け捨ての保険の保障を大きくして、貯蓄性のある保険の保障を小さくするという方法があります。これは、掛け捨ての保険は保険料が安く、貯蓄性のある保険は保険料が高いため、組み合わせ割合を調整することで、保険金額を高くするテクニックです。

具体例でご説明します。

プランA
終身保険1,000万円 月払保険料18,870円
65歳満了定期保険特約1,000万円 月払保険料3,110円
65歳までの保険金額2,000万円 月払保険料合計21,342円

プランB
終身保険200万円 月払保険料3,972円
65歳満了定期保険特約4,800万円 月払保険料14,016円
65歳までの保険金額5,000万円 月払保険料合計17,988円

保険金額と保険料を、プランAプランBで比較してみると、プランAは65歳までの保険金額が2,000万円しかないのに、月払保険料は2万円を超えます。一方プランBでは、保険金額は5,000万円とプランAの2.5倍もあるのに、月払保険料は約1.8万円というようにプランAよりも3,000円以上も安くなっています。

プランAとプランBを顧客に提案した場合、見栄えが良いのはどちらでしょうか?

保険金額が高く保険料が安いプランBのほうが、圧倒的に見栄えが良いはずです。

プランB の欠点は

  •  65歳以降の保障が200万円しかないこと
  •  約1.8万円の保険料のうち、約1.4万円が掛け捨てであること

の2点ですが、保険提案書の表現でうまくカモフラージュされていて、提案する側があえて顧客に伝えない限り、この欠点を指摘できる顧客はあまりいません。

営業職員の歩合給は、圧倒的にプランBのほうが高くなりますから、おのずと提案するプランはBになり、顧客もそれを何の疑問もなく受け入れる結果になる可能性大です

対応策

提案プランに定期保険(定期保険特約も含む)が入っている場合は、以下の2点に注意しましょう。

1. 保険期間が短くないか(10年・15年など)
一般的に、定期保険で死亡保障を準備する場合、子供が成人したり、夫婦が老後を迎えるまでは、比較的大きな死亡保障が必要なケースがほとんどです。それにもかかわらず、10年や15年といった短い保険期間の定期保険が提案されている場合は、意図的に保険期間を短くして保険金額を高くしている可能性があります。

営業担当者に、定期保険の保険期間を10年や15年に設定した根拠を確認しましょう。なぜ60歳や65歳ではないのか、納得できる説明がない限りは加入すべきではありません。

2. 貯蓄性のある保険(終身保険のケースがほとんど)とのバランスはどうか
終身保険が少額(200万~300万円程度)で、定期保険特約が高額(数千万円レベル)の場合は、意図的に保険料が高い終身保険の割合を小さくして、定期保険特約の割合を大きくしている可能性大です。

その場合は、まず提案されている保険金額の根拠を、営業担当者に確認しましょう。提案プランの保険金額が5000万円であれば、なぜ自分に5000万円の死亡保障が必要なのか、その根拠を必ず確認してください。そこに明確な根拠がない場合は、無駄な保険に加入する恐れがかなりありますから、担当者を変えてもらうか、別の保険会社や保険ショップでの加入を検討しましょう。

まとめ

生保営業職員の給与が歩合給であることで、提案するプランが顧客ファーストではなく、売り手ファーストになりがちであることは、大きな弊害のひとつです。

歩合率の良い保険種類に顧客を誘導したり、定期保険の保険期間をわざと短くして保険金額を上げたり、掛け捨ての保険の割合を増やすことで保険金額を上げたりして歩合給を増やすといったテクニックは、気をつけていないと買う側はなかなか見抜けません。

売る側の都合に載らないために

  1. 提案されているプラン以外の保険種類の提案書ももらって比較をする
  2.  定期保険の保険期間の根拠をただす
  3.  保険金額の根拠をただす

の3点は必ず行うことをおすすめします。








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